建築業界は今、未曾有のインフレと困難に直面しています。過去50年の流れを振り返ることで、今後の動向を探るヒントが見えてきます。
1970年代:オイルショックと「狂乱物価」
住宅需要の急増: 1972年頃、住宅需要の増加により木材価格が急騰しました。
オイルショックの影響: 1973年の第1次オイルショックにより、資材価格が暴騰し「狂乱物価」と呼ばれる時代に突入しました。
投資の終焉: 日本列島改造ブームによる旺盛な建設投資もありましたが、オイルショックを機に一気に「冬の時代」へと向かいました。
1980年代:バブルへの助走と景気回復
公共事業の抑制: 前半は財政健全化のため公共事業が削減され、民間投資も冷え込む厳しい時期でした。
バブル経済の到来: 後半になると内需拡大策や地価上昇により景気が急回復し、建築界を象徴するポストモダン建築などが多く登場しました。
1990年代:バブル崩壊とデフレの始まり
深刻な人手不足: バブル絶頂期には需要過多により人手不足とコスト高騰が極限に達しました。
景気の急落: 1992年のバブル崩壊を境に建設業界にも急ブレーキがかかり、その後30年にわたる長いデフレ時代が始まりました。
2000年〜2010年代:震災復興と労務費の上昇
リーマンショック: 2008年の世界的な金融危機により、景気はさらに冷え込みました。
復興需要と五輪: 2011年の東日本大震災後の復興需要や東京五輪に向けた工事が重なり、職人不足と労務費の急上昇が深刻な問題となりました。
2020年代:ウッドショックと「令和の建設費高騰」
最大級の上げ幅: 新型コロナウイルス、ウッドショック、ロシア・ウクライナ情勢、円安などが重なり、資材価格が再暴騰。
オイルショック超え: 現在のコスト上昇幅は1970年代のオイルショックを超える勢いであり、過去50年で最大級の変動を見せています。
これからの建築業界に求められるもの
建設コストが上昇し続ける中で、業界には新たな対応が求められています。
適正価格への転換: 「安く叩く」モデルから脱却し、下請け業者も含めた適正な価格設定が不可欠になっています。
生産性の向上(DX): 2024年問題(労働時間制限)に対応するため、少ない人数で品質を維持するDXの推進が急務です。
価値の創出: 単に建てるだけでなく、環境配慮や循環型建築(サーキュラーエコノミー)へのシフトなど、新たな付加価値を提供する必要があります。
発注者側の対策: 建設費高騰により入札不調や計画中止(病院や再開発ビルなど)が増えています。早期に施工業者を確保し、予算や規模を精査した綿密な計画が求められます。
まとめ
建築業界の50年は常にコストや人手不足との戦いでしたが、現在は「安く作る」時代が終わり、効率性、環境性、そして適正な利益確保が求められる新たなステージに突入しています。
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