建築士の製図試験において、適切な空調方式の選択とそれに伴うスペース(PS・DS・機械室)の確保は非常に重要です。本記事では、中央空調と個別空調の違いから、試験で書くべき具体的な寸法までを解説します。
空調設備の大きな分類
空調設備は、管理方式によって大きく2つに分類されます。
中央空調方式:建物全体を一括した熱源で空調する方式。
個別空調方式:部屋やゾーンごとに熱源が分かれている方式。
中央空調方式
①単一ダクト方式
■特徴: 吹き出し能力が高く、大空間(エントランス、図書室、吹き抜け)に適しています。
■機器: 空調機械室に「空気調和機(AHU)」を設置します。
■換気: AHUで外気を取り込めるため、換気も同時に行えます。
■作図のポイント:
・空調機械室: 対象面積の約2%の面積が必要です。
・DS(ダクトスペース): 建物全体に送るため、6㎡程度の大きなDSが必要です。
・梁下スペース: 太いダクトを通すため、500mm程度確保します。
・大空間の工夫: 天井が高い場合、床付近に還気口(RA)を設け、空気の循環を促します。そのためのRADS(2㎡程度)も忘れずに図示しましょう。
② ファンコイルユニット(FCU)方式
■特徴: 室内機ごとに個別制御が可能。吹き出し能力は小さいため、小規模な部屋が多い場合に適しています。
■換気: 別途、換気設備(全熱交換器や外気処理空調機)が必要です。
■作図のポイント:
・梁下スペース: 外気処理空調機を使う場合は300mm、全熱交換器のみなら100mm程度が目安です。
個別空調方式
代表的なものは「空冷ヒートポンプパッケージユニット方式」です。
■特徴: 屋外機1台に複数の室内機がつながるマルチ型が一般的。室内機ごとに制御が可能です。
■熱源の搬送: 中央式が「冷温水」を送るのに対し、個別式は「冷媒配管」を通します。
■作図のポイント:
・空調用PS: 冷媒管を通すためのPS(2㎡程度)を各階に図示する必要があります。
・床置き型ダクト接続: 大空間を個別空調する場合に使用。この時は空調機械室(10〜15㎡)や、梁下500mmのスペースが必要になるため注意が必要です。
換気設備の種類
個別空調やFCU方式を採用する場合、以下のいずれかの換気設備を併設します。
・全熱交換器(ロスナイ等):排気と外気の温湿度を交換して省エネを図る。
ダクトが細いため、梁下は100mm程度でOK。
・外気処理空調機(外調機):外気の温湿度を「調整」して取り込むため、より高機能。
設置スペースとして空調面積の約1%が必要。
梁下は300mm、SADS(2㎡程度)の確保が必要です。
まとめ:製図試験で間違えないためのポイント
■方式によるスペースの違いを整理する
・単一ダクト = 大きな機械室(2%) + 巨大なDS(6㎡) + 梁下500mm
・個別空調 = 空調用PS(2㎡) + 換気設備(全熱or外調機)
■配管の扱い
・冷温水配管(中央式)は給排水PSと併用可能。
・冷媒管(個別式)は空調用PSとして明記するのが望ましい。
■断面図への影響
採用した空調方式に合わせて、階高や梁下の有効寸法が整合しているか必ずチェックしましょう。
参考動画: 【1級建築士試験】製図、空調方式を解説


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